FOOLS GOLD[デースケドガー] 2 | FOOLS GOLD 

FOOLS GOLD[デースケドガー] 2



 1枚目のカードが配られた。
 これからの小一時間を想うと胸が苦しくなる。これから僕は人間のずるさをいやというほど味わうことになるだろう。なにより自分自身の狡猾さ・卑屈さそんな認めたくない部分を眼前にぶつけられる。それがデースケドガーに手に染めた者の辿る道だ。金は手に入るかもしれない。ある意味、世に知られているギャンブルの中で一番割りがいいだろう。そして金がない者ほど勝つ可能性が高い。他のゲームと逆だ。通常のギャンブルでは金があるやつが勝つ。典型的なのがポーカーだ。セブンスポーカーならまだしもポーカーで貧乏人が勝てるわけがない。自分みたいな庶民が手を出すとしたら、やっぱりブラックジャックだろう。ブラックジャックは1日トータルで負けることはない。簡単だ。カードを覚えればいい。映画レインマンでダスティンホフマンがやったように。もちろん確実にはむりだ。「A」と「絵札・10」と「2~4」と「5~9」の出た目を数える。これだけでまず負けない。あとルーレットもおすすめだ。ただルーレットは金があってハウス側にマークされると厳しくなる。目立ち過ぎない様にしなければならない。

 2枚目のカードが配られた。
 何を考えているのだ。集中しろ。くだらないギャンブル講義はまっぴらだ。そんなことより考えることがあるだろ。そうだ。僕はこれから目の前の女とデースケドガーをするのだ。この女に集中しなければならない。この女の年や格好からどんなライフスタイルで、どんな思考体系を持っているか想像しろ。そうだ。一番このゲームで大事なのは想像力だ。イマジネーションだ。

 3枚目のカードが配られた。
 僕は女の瞳をみつめた。彼女もこちらを見た。彼女は無表情だったが、その瞳の中に一瞬だけ悲しい光をたたえた。その時僕は思い出した。なぜこんな所で、デースケドガーをしなければならないかを。そうだ。なにもかもこの女の所為だ。そしてチャカカーンの所為だ。そしてチャカカーンに関わった自分の所為だ。

 4枚目のカードが配られた。

 2時間前の話だ。

 つづく

第 2 回 SEO コンテスト (新潟・スマトラ頑張れ!!)