FOOLS GOLD〔デースケドガー〕9 | FOOLS GOLD 

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕9



「さて」椅子から目の前のソファーに移動して、親分が語りかけてきた。
「さて、こちらも時間がない。質問は二つにしてくれ。本当の事を答えるとは限らないがな」
二つ?なぜ二つなのだろう。正直、ここはどこだとか、お前は誰だとか、俺をバットで殴ったやつは誰だとか、ドスで刺されたオヤジはどうなったかだとか、なぜチャカカーンがそこに立っているのかだとか、少年は何故ボコボコに殴られたのかだとか、今となってはどうでも良かった。分からない方がいい場合もあった。二つ?いろいろ考えたが一つしか思い浮かばなかった。
「何の用だ?」その唯一の質問を尋ねた。
親分は満足そうな笑みを浮かべながら答えた。
 「すばらしい。簡潔にして的を射ている。余計なことはしゃべらない。頭がいい。肝も座っている。そして臆病で慎重だ。おい、お前はなかなか見込みのあるやつを捕まえたな」最後はチャカカーンに対して語りかけていた。「それで、もう一つの質問は?」
 「どうして、『相田みつを』?」額縁を指差しながら質問した。別に相田みつをが好きなヤクザがいてもいいが、そんなヤクザとは知り合いになりたくなかった。偏見かもしれないが、相田みつを好きのヤクザなんて理解できない。もちろんどんなヤクザとも知り合いになんかなりたくなかったけれども。
 こんども親分は笑いながら答えた。
 「これか?気になるか?おい!」
 ドス男が相田みつを裏に引っくり返すと力強い毛筆で『魁』と書かれた文字が出て来た。反射的に『男塾』と心のなかでつぶやいた。
 「いつもはこうしているんだがな。素人の客人が来る時は額をひっくりかえすのさ。素人さんを緊張させない俺のアイデアだ。良い案だろう?」
 良い案かどうかは知らないが少し安心した。
 「さて、最初の質問の答えだが」
 「これから大きな賭場が開かれる。我々はその選手を探している」
 賭場?カジノ?
 麻雀や手ホンビキ、バカラなら本職に依頼するはずだ。こんな手の込んだ事までして、見知らぬ素人にやらせる種目とはなんだ?いやな予感がした。背中に冷たい汗が流れた。

「種目はデースケドガーだ」そこまで言うと、親分はドス男に続きを喋らせた。


 つづく


第 2 回 SEO コンテスト (新潟・スマトラ頑張れ!!)