FOOLS GOLD〔デースケドガー〕10 | FOOLS GOLD 

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕10



 それからドス男は今回の顛末とこれからのことを一気に捲くし立てた。今夜これから、日本中の大きな組の親分から政財界の大物、有名な芸術家、大物芸能人などが集まる非合法な賭場が開かれること。今回この組がホストとして仕切り役であること。デースケドガーの予定選手が急に二人逃げてしまったこと。急遽、あらたな選手を探さなければならなかったこと。そのなかでオヤジと僕が網にかかったこと。少年がオヤジに真相を告げて一緒に逃げ出そうとしたので、オヤジを刺した事。そして少年がボコられたこと。僕は勝負をしない限りは逃げられないこと。ただ勝敗に関わらず無事に2試合全うすれば報酬として1,000万円受け取れること。

 「満州式のデースケドガーを知っているか?」
 僕は満州式のデースケドガーを知っていた。昔、学生のころ図書館で調べたことがあった。旧日本陸軍が満州で起こした人体実験。それが、この東京アンダーグラウンドで今も行われていることも噂では知っていた。小金を持つと人はそのお金の増減で一喜一憂する。大金を持つと人は他人の破滅する様を眺め満足する。趣味の悪い下衆な親父連中を楽しませるためにそこでショーが行われるのだ。そう。満州式デースケドガーは正確な意味でギャンブルではない。ショーなのだ。
 「だいたいは」
 「よろしい。うちの組からあと一人――を出場させることにする。残りの二人は――組が用意することになっている」そういって先ほどからずっとうつむいているチャカカーンを指した。
 「それとこれが今回のハウスルールとレートだ。よく見ておけ」そう言うと1枚の紙切れをテーブルの上に置いた。


 つづく


第 2 回 SEO コンテスト (新潟・スマトラ頑張れ!!)