FOOLS GOLD〔デースケドガー〕16 | FOOLS GOLD 

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕16




2勝2敗で迎えた5試合目、ビックゲームになる予感がした。どちらも200Vの電圧が掛けられてあり、そして少なくとも僕はこれ以上の電圧に耐えるなんて御免だった。下から突き上げてくる電気が体中を巡るさまが実感される。口の中はすぐに唾液でいっぱいになり、しびれるような苦い味がした。それは彼女も同じはずだ。この試合は双方にとって大事な試合になるはずだ。剣が峰である最初の試合を僕は落とした。そのため左の小指を切り落とす事になってしまった。天王山になるであろうこの5試合目。全力でものにしなければならない。

僕のカードは「スペードの2、ダイヤの6、クローバーのA、クローバーの5、ハートの2」だった。僕は熟考した。
まず、今までの彼女の宣言を思い出し、検証してみた。彼女は1試合目、デースケからドガーに変更そして勝利した。2試合目・3試合目はデースケドガーを宣言し僕の勝ち。4試合目は僕がレイズに応ぜず降りたため、宣言せずに彼女の勝利。
まず思いつく特徴は、彼女がデースケドガーで連敗していること。ドガーで勝利し、デースケは仮でしか宣言していないこと。彼女が縁起を担ぐタイプでなくても、デースケドガーは宣言しづらいはずだ。勝利したドガーか初めてのデースケか、それともツラ目のデースケドガーで攻め込むのか?いくら考えても答えはでない。ただ推理を重ね、推測するしかない。大金と自分の身体を賭けたゲームにあてずっぽうで望むわけにはいかない。
僕のカードから構築できる手は「5、2、6、2、A」と並べてデースケ、ドガー、デースケドガーをそれぞれ8、8、6とするか「5、2、6、A、2」と並べて8、7、7とするかどちらかだろう。無難に過ごすなら後者でも良いが、今回は勝負処だ。ここでひよった手作りをしてはいけない。それに前者なら弱い目はデースケドガーで、彼女が一番はずすところだ。

僕がダイヤの6を真中に開示して5枚カードをテーブルに並べ、彼女はハートの4を真中に開示して並べた。

「まずファーストベットを」
ディーラーに促され、100万円を渡した。
「レイズ オア ステイ?」
その問いかけに彼女が前回同様200万円にレイズした。
(ざわ)  (ざわ)
ギャラリーもここが山場とわかっているのでざわめきだした。
今僕の手持ちは200万円だ。ここでコールすれば、負けても半額負担なので、100万円を失うだけである。だが例えばレイズして300万円勝負になったら手持ちで足りなくなる為、また指を賭けなくてはならない。小指と全額200万円かもしくは薬指と150万円をだ。慎重にコールしようとして思いとどまった。おい、まてよ、よく考えろ。これまで何度も自分に言い聞かせてきたように、問題は指ではない、この電気イスなのだ。ここで引くわけにはいかない。
僕は300万円にレイズした。


つづく


第 2 回 SEO コンテスト (新潟・スマトラ頑張れ!!)