FOOLS GOLD〔デースケドガー〕22
音がした。骨を鋭利な刃物で切り取る音だ。その音は自分の指を切り取った時よりも大きく響き、その居心地の悪い空気の震えが、僕の頭の中でこだました。
切断された指は、器具から5センチほど転がった。彼女は自分の指が切断される間際まで自分の指を見つめ、そして切断した後は、転がった指ではなくかつてそこに存在した指の不在を見つめ続けた。
彼女は声も出さず、目も瞑らず、ただじっと、指先を見つめていた。たっぷり1分はそのままでいたが、ゆっくりと時間をかけて白目を剥き、突然、突っ伏した。彼女の額とテーブルがぶつかり鈍い音がした。
ディーラーが彼女の様子をうかがい、両手を頭の上で交差した。
それが終了の合図なのだろう、医務院やらが部屋に入ってきて、担架で彼女を運び出した。
勝負続行不可能で決着がついた。
僕の勝利だった。
つづく
Push!Push!Push!