FOOLS GOLD〔デースケドガー〕25 | FOOLS GOLD 

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕25

最終戦。なんとしてもサヴァイブしてみせる。僕はできる限り瞳に力をいれて、目の前の相手を見据えるふりをした。ふりをしたのは目が見えないことが相手に知られたくないからであった。ギャンブルでキズを相手に知られることは致命傷だ。それはある意味目が見えないことそれ自体よりも。

この部屋が明るくしてあるとはとても思えなかった。テーブルの向かい側の相手は輪郭がおぼろげにわかる程度で、どんな顔をしているのか、年齢はいくつくらいなのか、さっぱりわからない。雰囲気で男であることはわかる。銀河鉄道999の車掌さんを相手にしているみたいだ。

この最終戦、僕がとった作戦は短期決戦だ。理由としてまず、同じ身体を酷使するならば、レートは高いほどいい。いや、というよりも高い方がまだましだ。目一杯レイズして勝負に望むつもりだった。もう一つの理由が視力の問題だ。今はまだなんとか見えているがいつ全く見えなくなるかわからない。僕の視力は時間を追って悪くなっているようだった。カードが判別できるかどうか心配だ。もちろん、よく見えなくても明かりに掲げたり、目を近づけたり、目を凝らしたりもできない。先に述べたように相手に自分のキズを知られてしまうからだ。

 

勝負が始まる前にディーラーが僕らのイスの電圧を上げた。一気に上げようが少しずつ上げようが、電気イスは電気イスだ。マッサージチェアとは違う。またお尻に衝撃が走った。

僕は200Vだが、相手は何Vなのだろう?僕よりも長く1回戦を闘っていたということは僕よりも多いかもしれない。相手には悪いがそう願った。

 

5枚のカードが配られた。自分のカードを引き寄せ中身を見た。よく判別できない。まず数字が分からない。マークの数で判断するしかない。「1」「2」「3」などの小さい数はなんとか判別できそうだ。絵札も絵柄が潰れているから判別できる。あとは「4から6」「6から7」「7から10」まではちょっと見ただけでは判別できない。僕は考えているふりをしながら、カードを凝視した。

 

僕は長考した。僕のカードは絵札が1枚、多い数(8か9か10)が2枚、中頃の数(4から6)が2枚だった。絵札を真中にして多い数で挟めば、たいてい強い目になる。ただし数字のカードが「10」だと最悪なことになる。そしてデースケドガーの位置に来る数は強い目もしくはとても弱い目だ。デースケドガーがブラックジャックと一番違うところは普通の目(例えば6)では勝てないというところだ。「普通の目」をつくるくらいなら、「強い目もしくは弱い目」のほうがいいのだ。

僕は意を決し、絵札を真中にして開示し残りはカードを伏せテーブルに並べた。

 


つづく

 

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